実力と才能は、似て非なるもの。
なんとも久しぶりに文庫本のことから。
だいぶ前に購入していてカバンにいつも入っていたのだが、なかなか「手に取って」から「読む」という行為に繋がらなかったので。
1カ月ほど前に。
「うりゃ~!」と、自分に課すように、チカラ尽くで。
垣根涼介の作品をきっかけに、
とりあえず2冊読了。
1冊目。
垣根涼介の『永遠のディーバ』。
抜群に良かった。
「君たちに明日はない」の4作目。
同シリーズの中で、これ、ぼくの中で最高傑作です。
あくまで主人公はサブ的なキャラとして。
過去3作品と比べて、あきらかに被面接者に焦点を多く当て、彼らのストーリーを全面に出した構成に、気持ち良く、ごく自然に、引き込まれた。
とくにタイトルにもなっている「永遠のディーバ」が特筆もの。
『実力と才能は、似て非なるもの』
本気で<冒険家>を目指していたぼくとしては、深く感じるところもあって。
清々しくも、ちょっぴり熱くなった、読了感。
2冊目。
小林泰三の『大きな森の小さな密室』。
氏の名前は前から知っていたものの。
たぶん読むのは初めて。
こんな手法で物語を作っていくミステリもあるんだな、と。
読了感としては何ら深い感慨はなかったけれど、
文体と構成が新鮮な驚きの連続で、各物語を読み進むことができました、と。
で、
話は「文庫本」から「音楽」へ。
「2015年版ゼッタイ観たほうがよい」と、
別に誰かに強制されたわけではなく、自分の中でそんな気持ちになり。
溜まっていた仕事を「数時間だけ忘れよう!」と自身に決めて。
先日の金曜夜に観た、ヒートウェイヴのライヴを備忘録的に。
雑記を振り返ると前回観たのは2009年11月。5年半ぶりの HEATWAVE ーー
それぞれの曲に情景が浮かび、
でも不思議とそれらはバラバラでなく、
すべてがひとつの物語のように繋がった、
まるでロードムービーを観ているようなライヴだった。
その感覚と体験の源は、
間違いなく、池畑さんのドラムに由るところだった。
正直に言うと、ヒートウェイヴでドラムを叩く池畑さんの良さが、じつはこれまで深く理解できなかった。
が、この日の氏のドラムと、そのリズムを取り巻く“音たち”を聴いて、ようやくわかった気がする。
どこまでも控えめなビート。
優しいスネアと、
薄っすらと耳に残るシンバルの音。
時折、ほんとうに時折だけ、
ムチのように魂を込めてスティックを操る、
ヒートウェイヴにおける氏のドラミング。
歌とメロディを極限まで引き出して昇華させるような、
なんというか、長い経験が創り出す、どこまでも“大人のドラム”なのだ。
山口さんの言う、これがバンドの“柱”なんだな、と。
そんな(至極勝手な)理解が、この日の最大の収穫だった。
最後に。
うつみようこさんが登場しての「満月の夕」のサプライズもあったり。
久しぶりに聴いたうつみさんの「歌声」は、なんだか凄みが一段と増して、笑っちゃうくらいの本物でした。
Yoko Utsumi -3 Mar '11- Don't Look Back in ...
ニンゲンたちが行なっている“ライヴ”は、
当然だけど、二度と同じ時間/コトは再現できないわけであって。
だからこそ、やっぱり“ライヴ”って良いな、と。
そう思える、5年半ぶりの HEATWAVE でした。