雑記「ぶえんぷろべーちょ。」

~ 「音楽」「旅」「本」「映画」を中心に、お腹に優しい雑記(備忘録)を綴ります ~

ぼくと小沢健二。

昨夜NHKホールで小沢健二のコンサートを観た。


奥さんに連れられて、初めての生オザワ。
でも彼の音楽は、ずっと身近な存在としてあったーー


所謂バックパッカー的なスタイルとして、ぼくは海外の長い旅を2回している。
北〜中〜南米大陸を旅した1年。
アジア〜アフリカを旅した10ヶ月。


いずれの旅にも小沢健二の『犬は吠えるがキャラバンは進む』をダビングしたカセットテープを持った。
唯一フルアルバムで持ったのが、このアルバムだった。


iPodなんてない時代。
荷物は極力減らしたい。
だから持てるテープの数は限られた。
8本くらいだったと記憶する。
洋邦含めて曲を厳選してテープに入れた。
そんな貴重なテープの1本を費やして、小沢健二のフルアルバムを入れたのだった。


グァテマラの悪路を行く夜行バスの中で。
サバンナを走り抜ける列車の中で。
窓の無い暗いジメジメとした安宿の部屋の中で。


ペルーのワラスで。
ガラパゴスの島々で。
チベットのラサで。
ナミビアのナミブ砂漠で。


「長い間、ふらふらと、こんな異国の地で、オレはいったい何してるんだろう…」
ときに、複雑な心境の中で。


いろいろな国々で。
いろいろな気持ちの中で。
小沢健二の音楽を聴いた。
助けられたり、勇気づけられたり、励まされたり、気分を盛り上げてくれたり。
小沢健二の音楽は、だから、ぼくにとって「恩人」のようなモノなのかも知れないーー


そんなことを思い出しながら、コンサートを観ていた。


NHKホールは、まるで祝祭やフェスのような空間。
幸福いっぱいの3時間。


曲と曲の間で、小沢健二は語った。
休んでいた間に沢山の外国を訪れ、沢山のことを経験したのだろう。
そんな旅先での話を聞きながら思った。気づいた。


「なーんだ、ぼくもオザワも、同じじゃん!」


そう、世界は脈々と、綿々と繋がっているのだ。
国や人種や生きる世界が違っていても、「幸せ」という思いに差はないのだ。


どんな僻地や辺境に行こうが、そこに住む人たちに接すると、そう感じる。
裕福だって貧しくたって、思うことや考えていることは、ぼくらのそれと、何ら変わりはない。
これまで43ヶ国を旅してきたぼくが言うのだから、(たぶん)間違いない。


ステージに立つ小沢健二は、音楽と体験談から、教えてくれた。
世界が繋がっていることと同じように、ぼくと小沢健二だって、「幸せ」に差はないのだ、と。


『君の住む部屋へと急ぐ』
そう、「幸せ」とは、そういうものなのだ!


人間=小沢健二という存在が、身近に感じられたコンサートだった。


そして今夜も奥さんはNHKホールへ…