彼女の誕生日は9月5日。
子どもが生まれた。
予定日より2日早く。
ついに、この日がやってきた。
長い長い9月5日だった。
日付が5日に変わったあたりに兆候が表れ、まだ暗いうちに病院へ。
そして、およそ15時間。
いま、ぼくの左肩には、奥さんの「格闘」を物語る、痛みとアザが残っている。
素直な気持ちを書こう、と思って、いまこうしているのだけれど。
正直、よくわからない。
嬉しい気持ちと同じくらい、よくわからない。
つい数時間前、初めて自分の子どもを抱いた。
体感したことのない、不思議な気持ちを味わった。
単なる嬉しさではない。
この気持ちは、何なのか?
「よくわかる」日が、果たして来るのだろうか?
ただ、2009年9月5日という日に、ぼくは、3度、思いっきり涙を浮かべた。
そのたびに、トイレに駆け込んだ。
そのことは、まだ奥さんに言っていない。