ふとしたときに想い出す、余韻のようなもの。
1ヶ月ほど前に見たショーン・ペン監督の最新映画『イントゥ・ザ・ワイルド』。いまだにふとしたときに想い出すこの感覚は何だろう。
「自分探しの旅」という言葉は、個人的に大嫌いなわけで。
とかく『旅』という行為は、そのような目的に使われる。
その先には、「文明社会からの逸脱」「物質主義への反発」「自然との共生」などと、旅=アウトローという図式にもっていかれたり。
「ぼく」自身の中にも『旅』がたくさん詰まっていて、少なからず彼のような思いや考えを覚えた時期があったからだろうけれど。
でも、ぼくは彼のように行き着くことはなく、いまは日々を過ごしているわけで。
たとえば、インドのバラナシあたりでガンジスを見ながら、人生観が変わってしまうこと。
わからなくはなけれど、でも旅に出るという行為だけでそんな感覚に陥ってしまうなんて、「幸せな人ですね」とか、「アナタのそれまでの人生って、つまらないものだったんですね」とか、ちょっと毒を吐いてみたくなる。
でも、「ぼく」自身だって、『旅』のおかげで、いまがあるようなもので。
先にジョン・クラカワー原作の『荒野へ』を読んでいたこともあって。
ふとしたときに、たとえば1年に一度とか、見たくなる映画って、きっと誰もが1本くらいあると思うんだけど。
『イントゥ・ザ・ワイルド』、きっと、ぼくにとって、そうなるんだろうな。
加えて。
エディ・ヴェダーの音楽が、また素晴らしかった。